Gabidulin符号が提案された論文を読むには

符号理論の研究動向として
Rank Metric Codes
が注目されています。

中でも、 E.M.Gabidulin によって提案された符号の
構成法と復号は、 Rank Metric Codesに深い理解を
与えます。

この記事では、Gabidulinの構成法を学ぶために
必要な知識や文献をまとめていきます。

そもそもの文献は
 Theory of Codes with Maximum Rank Distance
 Probl. Peredachi Inf., 1985, Volume 21, Issue 1, Pages 3–16 (Mi ppi967)
という論文です。この論文はロシア語で書かれているため、
日本人で読みこなすのは、なかなか厄介です。
では、どうしようかというと、
実は英訳版が出版されています。
なので心配無しです。
特定の大学の図書館で入手できます。

この論文を読めば、Gabidulin符号と呼ばれる構成方法が習得できます。

前提となる知識は
・線形代数の一般的な知識
・ユークリッド整域とユークリッド互助法の基礎知識
・有限体の構造、特に、 normal basis theorem
・線形化多項式の基礎理論
・q-binomial に関する知識
・リード・ソロモン符号に関する知識、特に、MDS性
・巡回符号に関する知識
・ユークリッド復号法に関する知識
です。
これだけあれば、簡単に読み進められます。

線形代数やユークリッド整域の知識は、
大学1年次に数学科で履修するでしょう。

normal basis theoremや線形化多項式の理論は
Niederreiter著の書籍「finite fields」(の2.3章まで)を読めば十分です。

q-binomialに関する知識は、
R.P.Stanley著の書籍「Enumerative Combinatorics」を読めば十分です。

MDS符号や巡回符号に関する知識は、
今井秀樹著の書籍「符号理論」を読めば十分です。

リード・ソロモン符号、ユークリッド復号法に関する知識は、
拙著「符号理論 ~デジタルコミュニケーションにおける数学~」を読めば十分です。

以上の準備のもと、上の論文を読まれれば、
Rank Metric Codesの面白さが理解できるのではと
思います。

妻とのやりとり: あらすじ

産休中の妻が、昼間に、映画館へ出かけたらしい。
そこで観た映画が、妻的には、どうにもスカッとしない終わり方だったらしい。

妻「ねぇ、今日観た映画のあらすじを話しても良い?」
私「良いよ」
妻「黒幕は、キャメロン・ディアスだったのよ」
私「え?」
妻「え?」
私「あらすじって言うのは、話の最初から最後までを、
  要点を掻い摘みながら、短くまとめたものだよ」
妻「そんなまどろっこしいこと、やってられないわよ」

夢:研究者になる

2013年4月に千葉大学へ異動して以来、
複数の人たち(特に千葉大学生や千葉大学に進学・入学を希望する人)から
同じテーマの質問・相談を受けてきました。

 「どうしたら、研究者になれるか?」

つまり、数学を研究する仕事に就くにはということ。

なかなか、答えづらい質問です。

答えづらい理由は
 ・こうやったらなれる、というパターンがない。
 ・研究者になれる人は、ごく少数。
ということがメインです。
もちろん、
他にも色々と考えなければならない
ことがあります。

僕からできるアドバイスは殆どなく、
それでも敢えて言うとすれば、
次の3つの回答が多少なりとも役立つと思っています。

1.自主ゼミを沢山開催する。

大学院生時代はもちろん、学部生のときに、
どれだけ沢山の自主ゼミを行ってきたかで、
研究力に大きな差が生じると思います。

できれば、学部1年生から、
自主ゼミに多くの時間を割いておくほうが
良いと思います。

2.千葉大学であることを活用する。
他の大学では学べないこと、
千葉大学が他の大学よりも進んでいること、
これらに興味を感じて、沢山勉強すると良いです。

わかりやすい例を挙げます。

多くの大学に「数学科」が設置されているけれど、
「数学・情報数理学科」というのはあまりありません。
つまり、「情報数理学」の側面を深く勉強すれば、
他大学の数学科の学生には得られない知識や技術が身に付きます。
これは、研究者になった時、強力な武器になります。

僕自身が応援できることとすれば、
「モダン符号」の知識の提供だと思っています。
現在、数学科で「モダン符号(LDPC符号など)」を講義で扱っている大学は
(僕の知る限りでは)他にないでしょう。

僕以外の話題としては「形式化」なども
かなり面白いと思います。
まだまだ、「形式化」を扱っている数学科は、
片手程度しかないはず。

ここでは情報数理学を活かした例をあげましたが、
情報を専攻せよという意味ではないので誤解せぬよう。

3.研究者になるのは結果にすぎない

あくまで、自分の好きなことを貫いた結果、
研究者になるというのが、あるべき姿だと思います。
研究者になることを目標にするのではなく、
好きな研究をし続けるのが良いと思います。

そうしている内に、
その分野では少なくとも日本で(できれば世界で)唯一無二の存在になれれば、
研究者になれる可能性が出てきます。

まずは唯一無二になれるまで、好きなことをつき進めるかが、
勝負どころだと思います。