2013年4月に千葉大学へ異動して以来、
複数の人たち(特に千葉大学生や千葉大学に進学・入学を希望する人)から
同じテーマの質問・相談を受けてきました。
「どうしたら、研究者になれるか?」
つまり、数学を研究する仕事に就くにはということ。
なかなか、答えづらい質問です。
答えづらい理由は
・こうやったらなれる、というパターンがない。
・研究者になれる人は、ごく少数。
ということがメインです。
もちろん、
他にも色々と考えなければならない
ことがあります。
僕からできるアドバイスは殆どなく、
それでも敢えて言うとすれば、
次の3つの回答が多少なりとも役立つと思っています。
1.自主ゼミを沢山開催する。
大学院生時代はもちろん、学部生のときに、
どれだけ沢山の自主ゼミを行ってきたかで、
研究力に大きな差が生じると思います。
できれば、学部1年生から、
自主ゼミに多くの時間を割いておくほうが
良いと思います。
2.千葉大学であることを活用する。
他の大学では学べないこと、
千葉大学が他の大学よりも進んでいること、
これらに興味を感じて、沢山勉強すると良いです。
わかりやすい例を挙げます。
多くの大学に「数学科」が設置されているけれど、
「数学・情報数理学科」というのはあまりありません。
つまり、「情報数理学」の側面を深く勉強すれば、
他大学の数学科の学生には得られない知識や技術が身に付きます。
これは、研究者になった時、強力な武器になります。
僕自身が応援できることとすれば、
「モダン符号」の知識の提供だと思っています。
現在、数学科で「モダン符号(LDPC符号など)」を講義で扱っている大学は
(僕の知る限りでは)他にないでしょう。
僕以外の話題としては「形式化」なども
かなり面白いと思います。
まだまだ、「形式化」を扱っている数学科は、
片手程度しかないはず。
ここでは情報数理学を活かした例をあげましたが、
情報を専攻せよという意味ではないので誤解せぬよう。
3.研究者になるのは結果にすぎない
あくまで、自分の好きなことを貫いた結果、
研究者になるというのが、あるべき姿だと思います。
研究者になることを目標にするのではなく、
好きな研究をし続けるのが良いと思います。
そうしている内に、
その分野では少なくとも日本で(できれば世界で)唯一無二の存在になれれば、
研究者になれる可能性が出てきます。
まずは唯一無二になれるまで、好きなことをつき進めるかが、
勝負どころだと思います。